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セールスレップとは
セールスレップ(Salesrep)の語源は、セールス・レプリゼンタティブ(Sales Representative)です。
直訳すれば、Salesは販売業務・販売部門・セールス、Representativeは代表者・代理人となります。アメリカで数十年前から発展してきたビジネス形態の一つで、その言語が表すとおり、日本では、営業代行業、販売代理業などがイメージとしては近いものとなりますが、セールスレップと言った場合は、その専門分野や地域において強力な人的営業・販売ネットワークを持ち、高いマーケティングスキルや専門知識により、効率的かつ効果的に販売支援を行う専門家であることが大きな特徴となっています。顧客からは、常に非常に大きな信頼を受け事業成功の成否を握る重要な役割を担っているのがセールスレップです。
アメリカにおけるセールスレップは、個人で高いステータスと報酬を得る優れた専門人材とされていますが、日本では商取引の信用問題や契約に対する意識の違いなどから、個人単位や少人数でも法人化して取り組むケースが一般的となっています。またこれまで営業代行業や販売代理業を行なってきた事業者が、社内のリーダー格の優れたセールスパーソンをセールスレップとして育成し、新たにセールスレップ事業に取り組むケースも多くなっています。さらに一般企業内においても、事業戦略、販売戦略、販売促進戦略、商品開発戦略などに精通した優れた人材の育成が求められていることから、セールスレップの総合的な販売・マーケティングノウハウを活用する取り組みが進められています。
セールスレップとは(経済産業省セールスレップ検討委員会・全国中央会全国統一基準書より)
日本型セールスレップは販売のみを追求することではない。日本版セールスレップはメーカーからの視点と販売先の双方の視点で商品、販売、販売促進、技術を理解し、助言・指導が出来ることが重要である。
これまでマーケティングは販売に関わる活動が重んじられてきた。しかし、それではまだ販売の領域でしかない。セールスレップは、製品から目利きし、かつ販売先の視点を重視することから活動を始める。すなわち「つくられたものを売るのではなく、売れるものをつくる」という発想で、メーカー企業と製品開発や改良を進めてゆく必要がある。
わが国ではセールスレップは経営マネージメントを身につけ、企業間取引に習熟した人材を育成することで、営業のみならず、事業戦略、販売戦略、販売促進戦略、商品開発戦略などに精通した人材が輩出されて浸透、定着化してきた歴史がある。
また、全国共通の取引ルールを確立することにより、セールスレップにとって「売ってみなければわからない」という多くの問題解決が図られている。
わが国では「製品開発の企画段階、あるいはプロトタイプにおけるセールスレップの取り組み」等において、「全国プロトタイプ(試作品)取扱いのための統一基準」が策定されている。これによりメーカー経営者が「作ってしまってから売れない」というリスクを軽減し、より社会の要望に見合った製品開発を行なうことが可能となっている。
セールスレップによるメーカー製品テストマーケティングの実現においては、セールスレップは販売先ルートに対して製品テストマーケティングの調査を実施、売り手側の視点による売れない問題点、売るための要件等を明確にしている。
このようにわが国では日本版セールスレップが育成され、浸透が加速されたことにより、定着化され、今日に至っている。
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■日本セールスレップ協会のセールスレップ普及の取り組み |
日本セールスレップ協会では、NPO法人日本ラーニング協会として経済産業省セールスレップ普及検討委員会委員に参画していた時代に「セールスレップは顧客(企業・団体)の立場にたって、顧客に満足される商品を提供することがその役割であり、すでに存在する商品をただ切り売りするのではなく、顧客の状況にあった形でマーケティング情報をメーカーにフィードバックし、商品のバージョンアップや用途開発等のアドバイスをしながら販売を行う者のこと」としました(参照:セールスレップ協同組合発行の日本型セールスレップ誕生の背景)。
日本セールスレップ協会は、平成15年9月経済産業省関東経済産業局の産業クラスターからなる委員会において提唱された「日本版セールスレップ・システムの普及及び実践」の趣旨を踏まえ設立された、わが国唯一のセールスレップ資格認定団体です。平成14年から「セールスレップ育成事業」に取り組み、セールスレップ・販路コーディネータ協同組合(経済産業省認可・関産認協1875号)とともに、わが国のセールスレップ普及において先駆的役割を果たしています。セールスレップの教育・資格認定活動のほか、全国のセールスレップ関連企業、団体、個人をネットワークして活動を推進しており、セールスレップ資格認定制度は日本経済新聞、日刊工業新聞、日本実業出版社、ダイヤモンド社、リクルートの「稼げる資格」,リクルート資格と仕事.netなどでも紹介されています。
セールスレップのビジネスモデルは、強いネットワークをもつ販売チャネルについて総代理店的な存在となる形態、販路にあわせた製品改良や営業戦略の指導を行うなどコンサルタント的な形態、依頼元企業の販売が弱いエリアやターゲット層を担当するなど相互補間的な形態、大手メーカー企業が販売代理店制度をセールスレップ制度に切り替える形態、その他、企画開発型、市場調査型、プロモーション型、展示代行型などを様々あります。
※図例1:一般的なセールスレップの形態
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※図例2:メーカーの総代理店的な存在となる形態の例
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■企業内セールスレップの導入
右肩上がりの経済成長が終わり厳しい経営環境にある中、一定の昇給が保証されていた終身雇用制度も終わり、大手・中小を問わず、将来が見えない時代となっています。そのような中で、企業内セールスレップの導入も進んでいます。
企業内セールスレップでは半雇用型のセールスレップや、固定給と成果報酬を組み合わせたセールスレップ型の給与体系などが導入されるケースが見られています。
これにより企業としては、実力、実績ともある優秀なセールスパーソンが成果に見合わない給与を不満として、競合企業に人材が流出してしまうケースを回避することができたり、定年退職後にも、経験や人脈を活かして、自社製品の販売を継続的に行ってもらうことができるなどの効果をもたらしています。
特に専門的な知識が必要なIT分野、工業分野などで導入が見られます。今後は、さらに実力主義や少子高齢化による退職後の人材活用がより一層進められるため、多くの分野で企業内セールスレップの導入が見込まれています。
■代理店でのセールスレップ事業の導入
これまで代理店制度での人的販売を行ってきたメーカーが、セールスレップ制度を検討し導入を始めています。 この背景には、マーケットの把握と先読みによるスピーディーかつ適確な製品化が重要になる中で、代理店制度ではこれに対応しきれなくなっているという課題があります。
また、バブル崩壊以降、代理店の倒産が当り前のように起きるようになってしまったことで、従来の特約店制度や販売奨励制度による代理店との関係性強化ではなく、物流や金流を含めて直接顧客との関係性を強化したい強化しなければ競合に勝てない、というメーカー側の状況が大きく影響しています。メーカーとして、これまで抱え込んできた代理店に対して、これからも自社製品だけを強力に販売して欲しいと考えながらも、変化の激しいマーケットに対し代理店を守り切れないという不安が交錯している状況にあるといえます。
このような状況から、代理店でのセールスレップ事業の導入が進んでいます。メーカーにとっても、代理店にとっても、今後の関係のありかたが見直されてきています。
日本の経済史を振り返えると、戦前にセールスレップに似た販売代行業がありました。しかし、この当時の日本では卸売業・問屋などが興隆を極めていて、この販売代行業はビジネスとしてのワークスタイルまでには至っていませんでした。時がたち、市場にモノが豊富に氾濫している時代が来ました。それと同時にわが国もグローバル化を迎え安い製品が東南アジアから輸入されるようになりました。生産者がいくら良いものを作っても、顧客のニーズに合わなければ注文も来ないし、ビジネスにならない時代がやってきたのです。多くのメーカーはモノづくりは分るのですが、マーケティングマインドがないことがしばしばあり、お客の目線でビジネスを考え、モノを作ることになれていなかったのです。いかに、顧客の目線で情報を入手し考えることができるかが求められました。そして企業間取引における提案型営業・販売・マーケティングに精通したセールスパーソンが望まれるようになりました。
その頃からセールスレップ事業に取り組む専門企業も出始めていましたが、まだ規模も小さく、力も弱い存在でした。この状況をみて当時、経済産業省(関東経済局)ではアメリカで実績のあるセールスレップに注目し、2003年に経済産業省セールスレップ普及検討委員会を設立しました。それまでセールスレップを研究し、その委員でもあった小塩稲之(当協会会長)は、2004年にわが国で初めてのセールスレップ・販路コーディネータ協同組合(経済産業省認可・関産認協1875号)を設立しました。
さらにそれまでもNPO法人日本ラーニング協会の代表としてセールスレップ育成に力を注いでおり、セールスレップ資格認定機関として日本セールスレップ協会を正式に発足させることとなりました。これが日本版セールスレップの幕開けとなりました。
■セールスレップ連携専門家
セールスレップの活躍とその存在の確立により、専門のマーケティング知識、販売促進知識などを有し、メーカーに対し販路開拓や商品開発助言のアドバイスを行い、セールスレップ取引の全般を把握し、メーカー、セールスレップ双方に対して客観的に契約等の指導、助言を行う専門家コンサルタントが求められました。この役割を担うのが(一社)日本販路コーディネータ協会が育成認定する販路コーディネータです。当協会は、依頼元メーカー、セールスレップ、販路コーディネータが一体となって販売拡大に取り組むことのできるよう、(一社)日本販路コーディネータ協会との連携を強化しています。
その活動の一環として、特例措置により、セールスレップ・マイスター資格者は、販路コーディネータ1級資格受験が可能となっています。
全国セールスレップ統一化基準書の策定
全国セールスレップ統一化基準書策定委員会
委員長:(株)日本総合研究所 研究事業本部主任研究員 芦田 弘氏
1955年生まれ。慶應義塾大学工学部管理工学科卒、株)日本総合研究所研究事業本部主任研究員。
日本セールスレップ協会は、平成15年9月経済産業省関東経済産業局の産業クラスターからなる委員会において提唱された「日本型セールスレップ・システムの普及及び実践」の趣旨を踏まえ設立した団体である。わが国唯一のセールスレップ及び販路コーディネータの資格認定団体である。平成14年から「セールスレップ育成事業」に取り組み、経済産業省認可、全国中央会加盟のセールスレップ・販路コーディネータ協同組合とともに、わが国のセールスレップシステム導入における先駆的役割を果たしている。(協会の沿革と活動)
全国のセールスレップの組合・団体がメーカーとの商品扱いを同じ条件で取り組めれば、全国の商品性の高い製品を、メーカーの要望を受けて大都市圏ばかりでなく地方でも、呼びかけに応じて依頼先の拡大が図れるレップ商品の全国多角的取引マーケットを形成することができる。その結果、より要望に見合った商品やレップに出会うことが可能になり、ビジネスは大きな機会に恵まれるという効果が得られる。
その実現性として、わが国で初めて本格的に日本型セールスレップの研修事業に着手し、セールスレップ業界の創世期から活動した団体である日本セールスレップ協会は実際にマッチング事業で集積された経験や取引データをもとに調査研究し、委員会を設置して「全国セールスレップ統一化基準書」を策定し、公式テキストなどにも反映している(経済産業省外郭団体全国中央会採択事業)。 |
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