北海道アルバイト情報社 40歳からの仕事2006/No.211
資格取得者に聞く「セールスレップ」とは?
経験を生かして商材を選択・販売し、商品開発等の提案も行う販売代理人
セールスレップの活躍を支援し北海道を活性化させていきたい
「セールスレップ」の語源はセールス・レプリゼンタティブ(Sales Representative)で、直訳すると販売代理(人)。専門的な知識を背景に、企業・団体(販売先顧客)に複数の商材を提供し(売り込み)、同時にメーカーに商品開発、情報提供など提案型の販売を行う事業者“と定義される職能のことで、平成18年から資格制度がスタートした。
国土が広大なため、大手企業以外は全土への販売拠点の配置が難しいアメリカでは従来、こうした代理人を使うことは一般的であり、一つのワークスタイルとして確立している。
日本ではこれまで、食料品でも衣料品や家電製品でも、製造メーカーから問屋・卸売業者という流通拠点を経由して販売店へと商品が届けられていたが、メーカー直販、産地直送といった販売形態が増え、消費者のニーズも多様化してきた。
「そうした状況に対応していこうと、経済産業省を中心に4年ほど前からセールスレップによるピジネス・システムの研究が進められてきました。セールスレップの役割は、商品を売り込むと同時に、市場の声をメーカーなどにフィードバックし、商品開発・販売展開の提案なども行うという点にあるんです」と説明してくれたのは、道内のセールスレップ第一号であり、経営コンサルタント会社・中山経営研究所を営む中山一司さん。
中山さんは現在、同じ試験を受けてセールスレップとなった砂川利行さん((株)ハダシ代表取締役・経営管理業務のアウトソーシングを展開)らと共に、道内におけるセールスレップの普及・啓発を目的とした北海道セールスレップ協同組合の設立準備を行っている。
「農産品、それに観光資源など、北海道には優れた”商材“がたくさんあるのに、それをどう売るかという視点が弱い。そこにセールスレップが入り、販売先の確保や商品の企画提案、ブランド化を進めることで、地域、ひいては北海道の活性化を促進するための受け皿が、この協同組合です」と砂川さん。
ライフスタイルに合わせた働き方定年後や主婦などの仕事にも最適
首都圏などではすでに、数百人が活躍しているというセールスレップ。日本では企業が個人と直接取引をすることへの抵抗が大きく、その大半は法人格を取得しているが、セールスレップは基本的に個人単位の活動だ。たとえば、ある業界の販売現場で長年、経験を積んだ人なら、販売手法とともにたくさんの取引先とのネットワークがある。その販売先をフルに生かし、個人の感覚で商材を撰び、売り込んでいくのがセールスレップの仕事だ。
問屋・卸売業と違って、在庫は持たずメーカーから販売店への橋渡しをするだけだ。そしてその商品が売れれば、販売手数料を得るというのが”商売“のシステムだ。
「在庫リスクがなく、初期投資もほとんどいらないのが特徴ですね。あくまで成功報酬なので、企業にとってもリスクはないんです」
このため、販売・販売体制を整える余裕のない新興企業を中心に、首都圏ではセールスレップを活用するケースが増えているとは中山さん。また、砂川さんによれば、「IT業界など、専門分野に特化したセールスレップも見られるようになってきました」
大手・中堅企業のなかにも、新たな販路の開拓要員としてセールスレップに注目するところも増えているといい、企業内起業の担い手となっていく可能性も高い。一方、セールスレップという働き方自体が、新しい形の起業なのだと中山さんは言う。
一セールスレップ資格取得者としては当面、ある業種・業界で10年内外以上の経験を持つような方が主になると思います。経験を生かしてセールスレップとして独立し、これだと思った商材を販売して、メーカーには商品企画を提案する。リスクはなく、やった分だけ収入になるという形態ですから、自分のライフスタイルに合わせて働けるんです」
収入はそれほど必要ないものの、積み重ねてきたキャリアを生かして社会とつながりを持っていたいという定年退職者や、主婦なども十分に取り組める仕事だという。
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