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セールスレップシステム導入事例ド
A社:健康用品製造販売
(1)導入の背景
・新規事業として業務用洗浄剤の輸入販売を開始
・基幹事業へセールスレップを本格導入するための試行
(2)同社のセールスレップの特徴
・米国の提携会社のノウハウを参考に、システムを導入
・セールスレップを独自で採用
・経験に応じて報酬制度を選択可
・セールスレップ教育制度を充実
・セールスレップ契約、毎年契約更新
・固定給+歩合給
・売上高:700億円
・経常利益:48億円
・従業員:1500人
B社:オーディオ機器製造販売
(1)導入の背景
・平成2年〜3年に販売所・出張所を統廃合
・固定費から変動費へ、セールスレップを導入
(2)同社のセールスレップの特徴
・オーディオ機器の担当の量販店販売
・全国の販売所に約30名のセールスレップを採用(割合50%)
・販売所長以外は、全員セールスレップという販売所もある
・セールスレップ契約社員、毎年契約更新
・固定給+歩合給、最大1,000万円、平均500万円
・売上高:620億円
・経常利益:4億円
・従業員:550人
(出所)セールスレップの仕組み 中央経済社)
C社:ITソフト&機器製造販売
(1)導入の背景
・四国に本社を持つため、販売拡大が遅滞、新規販売所開設の負担が重い
・平成18年に東京・大阪・名古屋を中心に販売所を新設
・新規販売所開設のため、セールスレップを導入
(2)同社のセールスレップの特徴
・ITソフト&機器の担当のルート販売
・東京・大阪・名古屋を中心に出張所にセールスレップを配置
・出張所は、全員セールスレップ
・セールスレップ契約、毎年契約更新
・歩合給+交通費
・売上高:-
・従業員:5人
D社:食品製造販売
(1)導入の背景
・地方に本社を持つため、首都圏エリアの大手流通ルートの確保が急務
・平成18年に独立型のセールスレップを採用
(2)同社のセールスレップの特徴
・大手流通ルートの販売チャネル獲得
・東京・大阪を中心にセールスレップを配置
・地方本社周辺エリア以外は、全員セールスレップ
・独立型のセールスレップと複数契約、毎年契約更新
・固定給+歩合給+交通費
・売上高:8億円
・従業員:30人
米国セールスレップの実態
米国のセールスレップは、メーカーの一連の製品群を効率よく顧客に適合した組み合わせに仕立てあげてプレゼンテーションする一方、メーカーに 顧客の要求に合わせた製品開発を促し、無駄な機能を削ぎ落としてコストダウンのアドバイスをするという重要な役割もある。
エグゼクティブセールスレップになると社会的地位も高く、年収も数千万円規模。
もう一つセールスレップの役割として忘れてはならないのが、転勤もなくある特定の地域に長年腰を据えて活動していることから最終需要家とも顔見知りで日常的な相談を受け相手のニーズを充分に掴んでいることである。
また地域に密着していることから自治体の購入窓口として自治体の購買情報にもメーカーの動静にも詳しく購買サイドの自治体にも供給サイドのメーカーにも重宝がられていることである。
●米国のセールスレップデータ
■事業所数:29,000
■従業員数:117,779人
(出所)米国商務省「1997年Economic Census Wholesale Trade 」 12
(1)教育訓練
・セールスレップはバックアップオフィスとしての協会、組合に所属する人材が多い。
・セールスレップの教育訓練プログラムを独自に持っている企業もあるが、昨今では教育訓練期間とコストを削減し、迅速な成果・実績を求める企業が増えている。
・自主的に新製品や新技術の展示会に出席したり、雇い主である企業のミーティングに参加して情報収集に努めている。
・セールスレップには目的意識と説得力が必要であり、個人プレイヤー及びチームプレイヤーとしての資質が必要とされる。
・報酬アップは、より大きな手数料が期待できるクライアントやテリトリーを任されることによって行われることが多い。
・セールスレップの募集資格として大学卒業を求める企業が増えている。
(出所)米国労働省「Occupational Outlook Handbook」
(2)報酬制度
・セールスレップに対する報酬制度は企業により、扱い商品により様々であるが、多くの企業は、固定給+手数料型(個人の売上成績に比例)、または固定給+ボーナス型)会社全体の業績に実績比例)を用いている企業が多い。
・交通費・宿泊費などの支給を受ける場合も多い。
米国商務省によるセールスレップの統計データ:規模及び生産性(2004年)
・一人当たり販売高:1.67百万ドル/年人
・報酬:年間報酬額(2004年)扱い商品やその分野での経験によって販売実績は大きく変わり、結果としてセールスレップの報酬額は企業の営業マンよりはるかに高くも安くもなりうる。
・科学技術商品以外:平均:$45,500・中位50%:$32,640〜$65,260・下位10%:〜$24,070・上位10%:$92,740〜
・科学技術商品・平均:$58,580・中位50%:$41,660〜$84,480・下位10%:〜$30,270・上位10%:$114,540〜
(出所)米国労働省「Occupational Outlook Handbook」
日本におけるセールスレップ・システムの導入
新規事業・新商品の全国展開
新規事業や新商品販売で全国展開を狙う場合に、地元エリア、地域市場に精通したセールスレップに販売活動を委託する。
新規販売所の開設
都市型拠点販売所や地方出張所を新規開設する場合に、セールスレップを採用し、事業所開設コストと固定費から変動費化を図る。
(販売所等を撤退する場合に、セールスレップ契約に置きかえて変動費化を図る。)
価格競争力強化(流通短縮)
商品の競争力を強めるために、問屋を経由した流通から直販へ切り替える場合にセールスレップを活用する。
卸売企業の業態転換
卸売会社が生き残りをかけてセールスレップ専門企業に変身する。
団塊の世代・Uターン社員、中高年独立企業への対応
団塊の世代、中高年の販売担当者や地元にUターンを希望する社員の新しい雇用形態とする。 野村総合研究所がまとめた「団塊世代のセカンドライフに関するアンケート調査」(2005年8月:全国の55歳以上60歳未満の会社員・公務員500人を対象)でも「団塊世代」の78.2%が60歳を過ぎてからも仕事を持ち続けることを希望しており、そのうち約15%は起業意欲を持っている。注目すべきは、団塊世代の約12%(働き続けたい人約80%×起業を希望する人約15%)もの人が起業を志していること。起業したいと考えることと実際に起業することには差があるが、もし団塊世代1000万人のうち6%程度(希望率の約半分)が実際にセカンドライフ起業をすれば、年間12万人のセカンドライフ起業が現れる。
女性セールスレップの拡大
正社員としてフルタイムで働く女性ばかりでなく、結婚して子供ができた後も派遣社員やパートタイマーとして働く女性も増えている。
セールスレップレディにとっての利点は、組織に縛られることなく自分の裁量で仕事ができること、成果に見合った収入が得られること、テリトリーが保障されているため不必要な競合がないこと、ノルマなどもないケースが多いこと、商品の仕入れや保管の責任を負わないので初期資金や運転資金が僅かで済むことなどが挙げられる。
若手セールスレップ・ベンチャー
若手を中心にベンチャー型のセールスレップの専門企業が伸長している。職業的には、販売スキルを持ったキャリア組と独立意識の強い若い脱サラ希望組の2極化現象が起こっている。セールスレップ・ベンチャー企業の事例では、@セールスレップエージェント=既存販路・新規開拓した販路に販売活動を行なう、
Aフリーランスレップ=既存顧客・新規開拓した販路に販売活動を行なう、 Bスペシャリティレップ=1メーカー専属でセールスレップ活動を行なうなどのパターンがある。
公的なセールスレップ
中小企業支援策としての販路開拓であるため、中小企業の負担が少ないということ、支援の対象が経営革新計画認定企業など一定のレベル以上の企業であるため、取引先にとっても信頼性の高い相手と活動することからセールスレップも信頼を得やすい。
日本では、セールスレップ協同組合や日本セールスレップ協会が展開する「販路開拓支援事業」がある。
金融機関の主催する企業マッチング
地域金融機関などでセールスレップが活用されている。金融機関の貸し付け企業であることから与信など一定のレベル以上の企業であるため、セールスレップも安全な企業と契約できる利点ことなどが挙げられる。
日本では、日本セールスレップ協会が展開する「金融機関:販路開拓サポート事業」がある。
中小・ベンチャー企業の販売を代行する団体、各種セールスレップ組合、セールスレップ協会、セールスレップ連盟、セールスレップ専門会社、販売に自信がある個人等がセールスレップを組織し、
中小・ベンチャーの販売代行を行う。
規制緩和や流通改革、販売の外部委託、雇用の多様化、労働意識の変化等、セールスレップを活用する環境や条件が揃いつつあり、日本においてもセールスレップ・システムの導入は増えていくものと考えられる。 |
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